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親子と他人の境界線

すべての物事、関係には表と裏がある。良いことだけではないが悪いことだけでもないし、その逆も然りだ。私自身、身内との関係があまり良好ではないため、この『絆』という言葉がピンと来なかったりする。私の家系は家長制度、男尊女卑の考えが非常に強く、「女はこうあるべき」という発言を幼い頃から聞かされてきた。

「女は早く結婚をして、たくさん子どもを産み、家族の面倒を見ていればいい。男のやることには口を出すな、年長者を敬え。介護しろ、面倒を見ろ、それが女の幸せだ」という、時代錯誤な考えが未だに身内たちには染みついている。いつの時代のどこの田舎だ?と思っているが、21世紀の都内の話である。この考えを全否定する気はないし、受け入れられる人は受け入れればいいと思う。人の幸せは十人十色、しかし私は勘弁願いたい。

こういう考えを持っている人間が発する「絆」ほど、胡散臭いものはない。介護要員の補充で物を言っているからである。女に生まれたという理由だけで、なぜ身内の面倒を見なければならないのか?(親なら分かるが)彼らの言うことはまったく意味が分からない。

ということを中国人男性のJ君に話したところ、彼が堰を切ったように話し出した。

「僕の父親や親戚も同じことを言っていた。でも僕はこんな考え絶対に賛成しないよ」と。

彼も家庭内や身内間の関係が良好ではなく、結婚をするときも周囲に散々文句を言われたのだとか。しかし、J君はその文句を振り切って、奥さんと結婚をした。今ではとても可愛い奥さんと娘さんと幸せに暮らしていて、たまに家族写真を見せてくれる。どれも微笑ましい画像ばかり。

去年は奥さん誕生日プレゼントについて悩んでいたし、娘さんの面倒も毎日見ている。なんというか、「家族の絆」ってこういうことを言うんだろうなと漠然と思った。相手を大切に思い、尊重する。J君一家を見ていると本当に安心するし、素敵な家庭を築いた彼を尊敬している。

お互いの状況、趣味、思想などたくさん話し合っているうちに、J君がこんなことを言い出した。

「ミツイちゃんと僕は歳も近いし、趣味も考え方もそっくりで兄妹みたいですね。中国と日本で国家は違うけど、あなたは僕たちの家族ですから、悲しいことでもなんでも話したらいいと思うよ」

まるで予想していなかった言葉に面食らった。まさか、そんなことを言われると思っていなかったから。たとえ、お世辞だったとしてもこの発言にちょっとだけ泣きそうになったのはJ君一家には秘密。私はこの歳になって少し変わった絆を手に入れたようだ。

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最終更新日:2017-02-12 23:35

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