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タクシーの運転手さんと私

子どもの頃、タクシーに乗る機会が多くありました。その当時は禁煙車なんてものはなく、タクシーの中はタバコの匂いで充満しており、たびたび車酔いしていた記憶があります。あの独特な匂いが苦手で、タクシーに乗るときは憂鬱になったものです。

その日も母がタクシーを拾いました。祖父母の家から帰るときは大体タクシーだったのです(駅から遠いから)。タクシーの振動、タバコの匂い、流れていく風景……案の定、車酔い。なんとも言えない不快感が身体中に広がっていくあの感覚。

(早く家に着いてほしい……吐きそう)

生あくびを連発しつつ、涙目になっている私。自宅まではまだまだ遠く、絶望的な気分になりました。そこで運転手さんが一言。

「すみません、コンビニ寄っていいですか?」

えぇ、構いませんよと母が返します。その言葉を聞いて、さらに絶望的になる私。早く帰りたいのに……!

5分後、コンビニの袋をぶら下げて戻ってきた運転手さん。袋の中から冷えたポカリスエットを取り出して、私にくれたのです。顔面が紙のように白くなっていたらしく、このままだと吐くかもしれないと思ったようです。

「ごめんね、もう少しで着くからそれ飲んで頑張って!」

母とお礼を言い、ポカリスエットをいただきました。冷たい飲み物を口に入れたら、不快感が少し和らいだような気がします。それから、私の方にある窓を全開にしてくれたことも覚えています。それからは吐き気が治まり、無事に自宅到着。母は少し支払いを多くして、運転手さんからお釣りを受け取りませんでした。

『具合が悪い人には優しくする』『気遣いをしてもらったら、ちゃんとお礼をする』

タクシーの運転手さんと母から学んだこと。さりげなく優しい気遣いができる人になりたいものです!

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最終更新日:2017-01-13 22:49

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